2022.1017 正対

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 だけどそんなこと何の役にも立ちはしないよ。もう嫉妬も羨望もあんまり抱かなくなって、緩やかに、だけど確実に、老いていっている。まさに喉元過ぎればって感じだ。あの激情は何処へやら。もう男の人から物欲しそうな、何かを期待しているような目を向けられる度にうんざりしている。お前らに消費される為に美しく在るわけじゃない。

 台風が過ぎて、というかお盆が過ぎてからもうずっと季節は秋だと思う。朝晩の冷えた空気に物悲しさを感じる。夕暮れ時に野焼きのにおいなんかしたらもう最悪。くそったれ。冬より秋の方が悲しくて、もうこれから先いいことなんか何にもないって気持ちになる。薄べったい不安に侵食されてしまわぬよう、気を強く持つ。人間の決意って何の役にも立たないらしいけどね。

 

 って9月に思っていたようだが、10月現在はいい感じ。正対。上を見たらキリがなくて下を見ても意味がない。前だけ向くんだよ!!あと、人に貸したお金が少しずつ戻ってきて嬉しい。私が歯ぁ食いしばって稼いだ金と、返してって言う一時の恥なら前者の方がどう考えたって大事。返済催促で学ぶセルフラブ。お金がないこともお金がない人のことも大っ嫌いだ。

 

 黄色いイチョウとケンタッキー。おお、あの秋から年末にかけてのきらめく思い出たちよ。そういうの全部この土地に置いていったら、私は幸せになれるのかしら。高校生の頃は皆ムートンブーツを履いていたけれど、あれは雪国向きでない代物だった。しっかり除雪されて固まった雪道しか歩かないのであればまだマシだったろうが。きっともう二度と見られないもの、会えない人がたくさんたくさんいて、そんなのどこにいたって同じかもしれないけど、それでも確かな断絶をするか否かで心持ちがこんなにも変わろうとは。私は一体何がしたいんだろう。何が欲しかったんだろう。帰る場所を失うことは怖い。私がこの先どんどん老いてしまって、それでもやっぱりこの土地のことを思い出すのか、思い出したら後悔するのか。どうも感傷的な気持ちになってしまって良くない。

 

 警察から逃げる夢をしばしば見る。その大概は殺人の冤罪で、テレビで容疑者は逃走中と流れている。一番どきどきしたのが警察に見つかったもののどうにか逃げてエレベーターを待っている夢。逃走を幇助してくれた友人と〇〇で落ち合おうと約束していて、絶対にそれに乗りたかった。だけど先にエレベーターを待っている人がいて、その人は私がテレビで流れてる容疑者だって知ってる?既に通報されてるのでは?別の道を行くべきか?だけど時間もないし引き返したらまた警察に見つかるかも…っていう。どんな映画よりも手に汗握った。最高の娯楽って夢なのかも。今日の昼寝では車で逃走してた。冤罪なんだからやってないって言えばいいものを何故か私は逃げたがる。なお現実の私は数ヶ月前に強風で隣の車にドアパンチしてしまったが、きちんと警察に電話した。相手は女性だったのだが旦那さんが車の板金工場を経営していること、極浅い傷なのでコンパウンドで擦れば消えるということから修理代は要らないとのことだった。いい人で本当に良かった。ありがとうございます。とにかく逃げたら捕まるから逃げずにいたい。捕まるようなことはするなって話だが。この間は毛虫を踏んで救急車を呼ぶ羽目になったりもしたから、何か呪われてんのかなと思って伊勢神宮の塩が入ったスプレーを買った。こちらの商品で人生が好転しました!嫌な同僚が職場を辞めました!元彼とヨリを戻せて幸せです!といったスピリチュアル効果は今のところないが、観測されたら報告します。